原発情報と「特定秘密保護法」
2013/10/29(火) 09:24 | コラム | 10
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ところで、特定秘密保護法によって、原発に関する情報は、「特定秘密」とされることはないのだろうか。この間、政府は「原発情報が秘密になることは絶対にない。」と説明してきた。ところが、10月24日に開かれた超党派議員と市民による政府交渉の場で、法案担当の内閣情報調査室参事官は、「原発関係施設の警備等に関する情報は、テロ活動防止に関する事項として特定秘密に指定されるものもありうる。」と説明したのである。そして、核物質貯蔵施設などの警備状況についても同様であるという。結局、原発の内部構造や事故の実態も秘密とされる危険性が明らかになったのである。
そもそも、法文上、原発情報を除外する規定などないにもかかわらず、「秘密とされることは絶対ない」などと断言すること自体虚偽説明であるが、ここでは、原発情報が「特定秘密」とされうることを確認しておくことにする。
法案によれば、防衛、外交、特定有害活動、テロ対策などに関する情報は、行政機関の長の判断で「特定秘密」とされ、国会や第三者機関の関与は予定されていないので、何が秘密とされたのかも不明ということになる。のみならず、その「秘密」を漏らした公務員も、政府情報を明らかにしようとする国会議員も、取材しようとするジャーナリストも、「犯罪者」とされる危険性に晒されるのである。
秘密保護法などなくても、放射性物質の拡散に関するデータを隠蔽した政府が、秘密保護法を手に入れてしまえば、国民の生命や健康にかかわる情報や環境汚染にかかわる情報も、「テロ対策」などの名目で国民の目から隠されてしまうことになる。そして、それを知らせようとする人たちは、「犯罪者」とされることを恐れ、その行動を自主規制することになるであろう。
福島県議会は、10月9日、「特定秘密の保護に関する法律案に対し慎重な対応を求める意見書」を全会一致で採択している。同意見書は、日弁連の反対の立場を援用しながら、原発の安全性に関する情報や住民の安全に関する情報が、核施設に対するテロ活動防止の観点から、「特定秘密」とされる可能性を指摘している。その上で、今、必要なことは、情報公開の徹底であり、刑罰による情報統制ではない。内部告発や取材活動を委縮させる法案は、情報隠蔽を助長し、ファシズムにつながるおそれがある、もし採択されれば、民主主義を根底からことになるとして、両院議長と内閣総理大臣に慎重な対応を求めている。
毎日新聞は、この福島県議会の意見書について、10月26日の社説「国会は危険な本質を見よ」で、「この重い指摘を全国民で共有したい。」としている。
私たちの姿勢と、福島県議会や毎日新聞とは、強く共鳴し合っているといえよう。
日本反核法律家協会事務局長 弁護士 大久保賢一