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原子力発電とは

発電の仕組み

 原子力発電も火力発電も、発電の方法については、基本的には同じやり方で行われています。電気を作るのは、発電機で、そこにあるタービンというものを回すことによって発電をさせるのですが、そのタービンを回すための動力として何が使われるのかということによって、発電の種類が異なってきます。火力なら燃料の、石油、石炭などを燃やして、原子力なら核エネルギーを用いて、それぞれ水などを沸騰させ、一部ガスタービンの場合もありますが、蒸気の力でタービンを駆動させます。これが発電の種類の違いとなります。
 発電機にあるタービンを回して、その力で電気を作るという、基本的な仕組みは一緒なのですが、それをどのような方法で行うのかが異なるわけです。この違いが発電の性格を大きく決めることになります。火力発電、火力発電所にも、それ固有の問題がありますが、また、そのほかの発電の仕組みにも、同じように問題があるのですが、技術的には、比較的安定したものといえるでしょう。それに対して、原子力発電、原子力発電所は、原子炉を制御することが難しく、核の廃棄物の問題などもあり、技術的にも、非常に多くの困難を抱えているといえるでしょう。ここに原発の是非が議論される大きな理由があります。

原子力発電とは

 原子力発電も原子力爆弾も、核分裂の連鎖反応によって生み出される莫大なエネルギーを利用していることに変わりはありません。ウラン原子核に中性子を衝突させると原子核は分裂し中性子を出し、その中性子がさらにほかの原子核を分裂させるという具合に、つぎつぎと原子核を分裂させることを連鎖反応といい、この核分裂のさいには大きなエネルギーが放出されるのですが、それが連鎖反応することによって、短時間に非常に膨大なものとなるのです。この仕組みを原子爆弾は利用しているのですが、それはその力をできるだけ短い時間に極大化する方向でもちいられます。
 これに対して、原子力発電の方は、この同じ原理を利用してはいますが、核分裂の連鎖反応にともなうエネルギーを抑えながら、つまり核分裂を緩やかに持続的に起させて少しずつ、小出しにエネルギーを取り出すようにするのです。このエネルギーが生み出す熱を用いて水などを沸騰させて、その水蒸気の力で発電用のタービンをまわし、発電する仕組みとなります。核分裂のさいに、熱のもととなるエネルギーを放出すると同時に、放射線を出します。この放射線をおびた物質、放射性物質が、原子力発電では、核爆発と比べても、大量に発生し、時間的にも長期にわたって残存することになります。
 ここに原子力発電の危険性があるといえるでしょう。放射性物質は、放射線を放出し、しだいに別の物質となるのですが、その時に熱が生み出されます。こうした性質を放射能というのですが、発電にともなって原子炉内に大量に発生した放射能から、非常に多くの熱が出つづけることになります。そのため原子炉が停止した状態にあっても、炉心を冷やしつづける必要があり、十分に冷却されていないと、放射能が外部に放出されるような事態になってしまいます。なお、放射性物質が、放射線を出しほかの物質へと変化していく過程で、放射能の量が半分になるまでの時間を半減期といいます。
2024/08/24(Sat) 10:32  |   原発基礎知識  |   12