東電福島原発事故の被害の実態と、原因・責任を解明し、人権の回復と、脱原発社会を目指す、法律家・科学者・ジャーナリストのネットワークです
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日本ジャーナリスト会議「ジャーナリスト 2025年2月号」より転載
去る1月26日(日)の午後、明治大学の駿河台キャンパス・グローバルフロントにて、「日本環境会議」(JEC)主催、「ノーモア原発公害市民連絡会」(以下「市民連」)と「6 ・17最高裁共同行動実行委員会」(23団体参加)の協賛による公開市民シンポ第2弾!>「原発と司法―いま私たちに問われていること」(会場参加約200人弱、オンライン視聴100人余)が開催された。これは、昨年(2024年)6月16日(日)の午後、同じく明治大学の駿河台キャンパス・リバティホールにて開催した「巨大地震と原発―司法のあり方を問い直す」という〈公開市民シンポ第1弾!〉(会場参加約400人弱)に続くものであった。ここで、私たちが「司法のあり方」や「原発と司法」に焦点を当てているのはなぜなのか?ごく簡単に説明しておけば、そこには、次のような経緯と背景がある。
周知のとおり、2011年3月の福島原発事故から14年目を迎えようとしているが、この間、数多くの原発関係訴訟が各地で争われてきた。そうしたなかで、2022年6月17日、福島原発事故による損害賠償訴訟の上告を受けた最高裁第二小法廷の判決(「6・17最判」)が出された。だが、その判決は、国が仮に規制権限を行使したとしても原発事故は避けられなかった、だから「国に責任はない」という、きわめて不当なものであった。しかも、この「6・17最判」以降、その後の日本政府は、「原発再推進」へと明らさまな政策転換を行い、たとえば2025年度からの「第7次エネルギー基本計画」素案でも「最大限活用」を前面に打ち出すに至っているのである。
私たちは、上記のような経緯と背景を踏まえて、とくに福島原発事故における「国の責任」を不当に否定した「6・17最判」を正すことに焦点を当てた取り組みを進めてきた。過日のシンポにおいても、ジャーナリストの金平茂紀さん(市民連」代表世話人)、弁護士の海渡雄一さん(脱原発訴訟弁護団全国連絡会共同代表)、研究者の吉村良一さん(立命館大学名誉教授)らによる一連の講演はそれぞれに貴重なものであったが、やはり何といっても、樋口英明さん(元裁判官)による特別講演がメインの位置を占めていたといえる。
とりわけ、今回の樋口さんのお話しは、この1月初旬に刊行された岩波ブックレット樋口英明著『原発と司法──国の責任を認めない最高裁判決の罪』のエッセンスを非常に分かりやすく噛み砕いたものであった。皆さんには、同書そのものをご購読いただくよう、ここに強くお薦めしたい。
なお、当日のシンポ全体の録画やそこでの講演資料等は、「日本環境会議(JEC)」のHPにおける下記のサイトに掲載してあるので、ご参照いただければ幸いである。
http://www.einap.org/jec/article/events/54/173 ←転載元