核兵器と原発の共通性と異質性 -核の平和利用の意味すること―
核兵器と原発の共通性と異質性 -核の平和利用の意味すること―
核兵器も原発も、核分裂エネルギーを利用する人間の営みであるということでは共通している。
核兵器はそのエネルギーを瞬時に最大限解放し、原発はそれを制御しながら利用するという違いがあるだけである。
原爆投下直後のトルーマンの声明は、核エネルギーについて「宇宙に存在する基本的力」と表現している。
核エネルギーは兵器として使用される場合には「地獄の業火」として、制御される場合には「神の火」として、人類の前に現れることになる。
今、国際社会も我が国も、核分裂エネルギーをコントロールすることは可能だとしている。
核エネルギーの「平和利用」や「民生利用」は各国の「奪いえない権利」としているのである。
本当に制御可能なのであろうか。それができていないことは、この間の現実が雄弁に物語っているではないか。
電気製造の方法は、核分裂エネルギーだけではないことは誰でも知っていることではないか。
にもかかわらず、なぜ、原発に依存しようとするのか。なぜ、「地獄の業火」による火遊びをやめようとしないのか。
核分裂エネルギーを兵器として、あるいは金儲けの道具として利用したい連中が、この世界を牛耳っているからであろう。
けれども、既に、原発に依存することをやめた国家も存在する。例えば、ドイツなどである。
核兵器はそのエネルギーを瞬時に最大限解放し、原発はそれを制御しながら利用するという違いがあるだけである。
原爆投下直後のトルーマンの声明は、核エネルギーについて「宇宙に存在する基本的力」と表現している。
核エネルギーは兵器として使用される場合には「地獄の業火」として、制御される場合には「神の火」として、人類の前に現れることになる。
今、国際社会も我が国も、核分裂エネルギーをコントロールすることは可能だとしている。
核エネルギーの「平和利用」や「民生利用」は各国の「奪いえない権利」としているのである。
本当に制御可能なのであろうか。それができていないことは、この間の現実が雄弁に物語っているではないか。
電気製造の方法は、核分裂エネルギーだけではないことは誰でも知っていることではないか。
にもかかわらず、なぜ、原発に依存しようとするのか。なぜ、「地獄の業火」による火遊びをやめようとしないのか。
核分裂エネルギーを兵器として、あるいは金儲けの道具として利用したい連中が、この世界を牛耳っているからであろう。
けれども、既に、原発に依存することをやめた国家も存在する。例えば、ドイツなどである。
2024/08/23(Fri) 16:30 | 原発と核兵器 | 6
原発情報と「特定秘密保護法」
原発情報と「特定秘密保護法」
福島原発事故に際して、放射性物質の拡散状況に関するデータ(SPEEDI)が米国には提供されたが、国民からは隠されていたために、福島県浪江町の住民が放射線の高い方向に避難するという悲劇が起きた。政府は、原発事故に関する情報を国民のためには使おうとしなかったのである。そんな政府が「国民の安全のため」として、「特定秘密の保護に関する法律」(特定秘密保護法)を国会に上程している。
ところで、特定秘密保護法によって、原発に関する情報は、「特定秘密」とされることはないのだろうか。この間、政府は「原発情報が秘密になることは絶対にない。」と説明してきた。ところが、10月24日に開かれた超党派議員と市民による政府交渉の場で、法案担当の内閣情報調査室参事官は、「原発関係施設の警備等に関する情報は、テロ活動防止に関する事項として特定秘密に指定されるものもありうる。」と説明したのである。そして、核物質貯蔵施設などの警備状況についても同様であるという。結局、原発の内部構造や事故の実態も秘密とされる危険性が明らかになったのである。
そもそも、法文上、原発情報を除外する規定などないにもかかわらず、「秘密とされることは絶対ない」などと断言すること自体虚偽説明であるが、ここでは、原発情報が「特定秘密」とされうることを確認しておくことにする。
法案によれば、防衛、外交、特定有害活動、テロ対策などに関する情報は、行政機関の長の判断で「特定秘密」とされ、国会や第三者機関の関与は予定されていないので、何が秘密とされたのかも不明ということになる。のみならず、その「秘密」を漏らした公務員も、政府情報を明らかにしようとする国会議員も、取材しようとするジャーナリストも、「犯罪者」とされる危険性に晒されるのである。
秘密保護法などなくても、放射性物質の拡散に関するデータを隠蔽した政府が、秘密保護法を手に入れてしまえば、国民の生命や健康にかかわる情報や環境汚染にかかわる情報も、「テロ対策」などの名目で国民の目から隠されてしまうことになる。そして、それを知らせようとする人たちは、「犯罪者」とされることを恐れ、その行動を自主規制することになるであろう。
福島県議会は、10月9日、「特定秘密の保護に関する法律案に対し慎重な対応を求める意見書」を全会一致で採択している。同意見書は、日弁連の反対の立場を援用しながら、原発の安全性に関する情報や住民の安全に関する情報が、核施設に対するテロ活動防止の観点から、「特定秘密」とされる可能性を指摘している。その上で、今、必要なことは、情報公開の徹底であり、刑罰による情報統制ではない。内部告発や取材活動を委縮させる法案は、情報隠蔽を助長し、ファシズムにつながるおそれがある、もし採択されれば、民主主義を根底からことになるとして、両院議長と内閣総理大臣に慎重な対応を求めている。
毎日新聞は、この福島県議会の意見書について、10月26日の社説「国会は危険な本質を見よ」で、「この重い指摘を全国民で共有したい。」としている。
私たちの姿勢と、福島県議会や毎日新聞とは、強く共鳴し合っているといえよう。
ところで、特定秘密保護法によって、原発に関する情報は、「特定秘密」とされることはないのだろうか。この間、政府は「原発情報が秘密になることは絶対にない。」と説明してきた。ところが、10月24日に開かれた超党派議員と市民による政府交渉の場で、法案担当の内閣情報調査室参事官は、「原発関係施設の警備等に関する情報は、テロ活動防止に関する事項として特定秘密に指定されるものもありうる。」と説明したのである。そして、核物質貯蔵施設などの警備状況についても同様であるという。結局、原発の内部構造や事故の実態も秘密とされる危険性が明らかになったのである。
そもそも、法文上、原発情報を除外する規定などないにもかかわらず、「秘密とされることは絶対ない」などと断言すること自体虚偽説明であるが、ここでは、原発情報が「特定秘密」とされうることを確認しておくことにする。
法案によれば、防衛、外交、特定有害活動、テロ対策などに関する情報は、行政機関の長の判断で「特定秘密」とされ、国会や第三者機関の関与は予定されていないので、何が秘密とされたのかも不明ということになる。のみならず、その「秘密」を漏らした公務員も、政府情報を明らかにしようとする国会議員も、取材しようとするジャーナリストも、「犯罪者」とされる危険性に晒されるのである。
秘密保護法などなくても、放射性物質の拡散に関するデータを隠蔽した政府が、秘密保護法を手に入れてしまえば、国民の生命や健康にかかわる情報や環境汚染にかかわる情報も、「テロ対策」などの名目で国民の目から隠されてしまうことになる。そして、それを知らせようとする人たちは、「犯罪者」とされることを恐れ、その行動を自主規制することになるであろう。
福島県議会は、10月9日、「特定秘密の保護に関する法律案に対し慎重な対応を求める意見書」を全会一致で採択している。同意見書は、日弁連の反対の立場を援用しながら、原発の安全性に関する情報や住民の安全に関する情報が、核施設に対するテロ活動防止の観点から、「特定秘密」とされる可能性を指摘している。その上で、今、必要なことは、情報公開の徹底であり、刑罰による情報統制ではない。内部告発や取材活動を委縮させる法案は、情報隠蔽を助長し、ファシズムにつながるおそれがある、もし採択されれば、民主主義を根底からことになるとして、両院議長と内閣総理大臣に慎重な対応を求めている。
毎日新聞は、この福島県議会の意見書について、10月26日の社説「国会は危険な本質を見よ」で、「この重い指摘を全国民で共有したい。」としている。
私たちの姿勢と、福島県議会や毎日新聞とは、強く共鳴し合っているといえよう。
(2013.10.28記)
日本反核法律家協会事務局長 弁護士 大久保賢一
日本反核法律家協会事務局長 弁護士 大久保賢一
2013/10/29(火) 09:24 | コラム | 10
原発事故から2年4か月、避難者はいま
原発事故から2年4か月、避難者はいま
福島第一原発の事故から2年4か月余りが経過した。まだかなりの人びとが避難をしている状態にある。避難を余儀なくされた人びとのうち、その多くが福島県内にとどまっている一方で、少なくない数の人びとが、近隣の他県や関東地方などをはじめ、全国各地に分散する形で、広域の避難をしている。これに加え、避難命令などが発令されてはいないが、放射能汚染の状況を考慮し、避難している、いわゆる自主避難の人びとがいる。
こうした避難者の状況については、事故への社会の関心が薄れていく中で、必ずしも十分に広く伝えられることが少なくなっているのではないだろうか。仮設住宅などには、折にふれ、マスコミの目にふれることもあるが、都市部の普通の住宅に埋没している、いわゆるみなし仮設の住人については、あまり知られる機会が多くないように感じる。
このような状況の中で、広域避難、それも都市部にいる、被災者の実情を把握しようと、東京と埼玉にいる人たちを対象に、事故から2年を機に、アンケート調査を、支援団体が実施した。筆者もその活動に参加する震災支援ネットワーク埼玉と東京災害支援ネットが行い、埼玉については、昨年に引き続いての調査であり、東京は初めてであったが、いわゆる強制避難者だけではなく、できるだけ自主避難者の声も集めようと試みた。
まだ十分に、その結果を分析することができてはいないのだが、相変わらず避難者の多くがメンタル的に困難を抱え、家族も分断され、将来の見通しも立たず、経済的にも厳しい状況が浮かび上がってきた。損害賠償についても、東電の補償額が少ない中で、不十分であるとの認識や、不安を抱えながらも、多くが賠償請求をし、一定程度ADRも活用されている。数はまだ少ないのだが、訴訟にふみきったケースもあって、注意を引く。
総じて被災者の状態は困難を抱えてはいるが、その中でも、個人差や多様化がみられるようにもなってきた。依然として立ち上がることにハードルが高いと感じる人がいる一方で、心理的に多大な負荷を内在させつつも、状況への適応と、そこから能動的に自らの声をあげることの重要性を意識し始めている人びとの存在が見えてきた。
これらの事柄から、避難者についてステレオタイプで語ることが、どれだけ難しいことであるのか、また、それがどのような問題性をはらんでいるのかが明らかになるだろう。それと同時に、被災者のニーズを考えるなら、個別的で細やかな柔軟性が求められることも理解できるだろう。事故から2年を機に、事態は変化しつつある。
なお、調査の詳細について、7月27日(土)午後1時30分より、東京・西早稲田の早稲田大学で、調査を行った両団体によるシンポジウムで報告の予定。詳細については、震災ネットワーク埼玉のホームページなどを参照。
こうした避難者の状況については、事故への社会の関心が薄れていく中で、必ずしも十分に広く伝えられることが少なくなっているのではないだろうか。仮設住宅などには、折にふれ、マスコミの目にふれることもあるが、都市部の普通の住宅に埋没している、いわゆるみなし仮設の住人については、あまり知られる機会が多くないように感じる。
このような状況の中で、広域避難、それも都市部にいる、被災者の実情を把握しようと、東京と埼玉にいる人たちを対象に、事故から2年を機に、アンケート調査を、支援団体が実施した。筆者もその活動に参加する震災支援ネットワーク埼玉と東京災害支援ネットが行い、埼玉については、昨年に引き続いての調査であり、東京は初めてであったが、いわゆる強制避難者だけではなく、できるだけ自主避難者の声も集めようと試みた。
まだ十分に、その結果を分析することができてはいないのだが、相変わらず避難者の多くがメンタル的に困難を抱え、家族も分断され、将来の見通しも立たず、経済的にも厳しい状況が浮かび上がってきた。損害賠償についても、東電の補償額が少ない中で、不十分であるとの認識や、不安を抱えながらも、多くが賠償請求をし、一定程度ADRも活用されている。数はまだ少ないのだが、訴訟にふみきったケースもあって、注意を引く。
総じて被災者の状態は困難を抱えてはいるが、その中でも、個人差や多様化がみられるようにもなってきた。依然として立ち上がることにハードルが高いと感じる人がいる一方で、心理的に多大な負荷を内在させつつも、状況への適応と、そこから能動的に自らの声をあげることの重要性を意識し始めている人びとの存在が見えてきた。
これらの事柄から、避難者についてステレオタイプで語ることが、どれだけ難しいことであるのか、また、それがどのような問題性をはらんでいるのかが明らかになるだろう。それと同時に、被災者のニーズを考えるなら、個別的で細やかな柔軟性が求められることも理解できるだろう。事故から2年を機に、事態は変化しつつある。
なお、調査の詳細について、7月27日(土)午後1時30分より、東京・西早稲田の早稲田大学で、調査を行った両団体によるシンポジウムで報告の予定。詳細については、震災ネットワーク埼玉のホームページなどを参照。
丸山重威(日本ジャーナリスト会議)
2013/07/16(火) 11:48 | コラム | 1
被害者訴訟
被害者訴訟
2011年3月11日の東日本大震災に伴う、東京電力福島第一原子力発電所の爆発・放射性物質漏れ事故は、多くの人達に未曾有の被害をもたらしました。
同原発周辺地域の住民の方々は、自らの住居に帰れず、避難先での生活を余儀なくされ、生活の基盤、コミュニティ自体を奪われました。また、避難区域外の方々でも、生業を奪われ、また、日常で、放射線による被害、危険に怯える生活を余儀なくされました。特に、多くの子ども達が、普通に屋外で遊び、行動すること自体、注意しなければならない状況です。
さらに、放射線被害などを免れるため「自主」非難せざるを得なかった方々、事故収束作業にかかわる労働者の方々など、多くの原発事故被害者がいます。これらの方々の被害回復は重要な課題です。
そこで、これら原発事故被害者の方々に、「完全被害回復」、「完全賠償」を実現すべく活動する、まさしく日本各地に、多くの弁護団が存在します。2012年12月頃以降、同弁護団による、集団提訴が始まり、日本各地で、訴訟が提起され、また、その準備が進んでいます。このコーナーでは、これらの弁護団、及び、その活動について紹介します。
同原発周辺地域の住民の方々は、自らの住居に帰れず、避難先での生活を余儀なくされ、生活の基盤、コミュニティ自体を奪われました。また、避難区域外の方々でも、生業を奪われ、また、日常で、放射線による被害、危険に怯える生活を余儀なくされました。特に、多くの子ども達が、普通に屋外で遊び、行動すること自体、注意しなければならない状況です。
さらに、放射線被害などを免れるため「自主」非難せざるを得なかった方々、事故収束作業にかかわる労働者の方々など、多くの原発事故被害者がいます。これらの方々の被害回復は重要な課題です。
そこで、これら原発事故被害者の方々に、「完全被害回復」、「完全賠償」を実現すべく活動する、まさしく日本各地に、多くの弁護団が存在します。2012年12月頃以降、同弁護団による、集団提訴が始まり、日本各地で、訴訟が提起され、また、その準備が進んでいます。このコーナーでは、これらの弁護団、及び、その活動について紹介します。
- 原発事故被災者支援北海道弁護団 原発事故の周辺等から北海道内へ避難した方々や、道内において風評被害等を被った方の支援活動に取り組むための弁護団です。2013年6月21日、第1次提訴を行い、9月27日には、第2次提訴を行っています。
- 原発被害救済山形弁護団 福島県内から山形県へ避難された方々の被害に対する全面的損害賠償の実現と生活再建への協力を目的として、山形県弁護士会所属の弁護士が参加して結成された弁護団です。2013年7月23日、山形地方裁判所に、東京電力株式会社及び国を被告とする損害賠償請求訴訟を提起致しました。
- ふくしま原発損害賠償弁護団 東京電力福島第一原子力発電所の事故で被害にあわれた方々の完全賠償を実現することを目的とする、福島県の弁護士による原発被害損害賠償のための弁護団です。原子力損害賠償紛争解決センターへADR申立などに取り組んでいます。
- 「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟弁護団(通称、「生業」弁護団) 2013年3月11日、800人の原告とともに、東京電力及び国を相手方として、福島地方裁判所に訴えを提起しています。本件訴訟において、地域を汚染した放射性物質を事故前の状態に戻すこと、そして元の状態に戻るまでの間、精神的な苦痛に対する慰謝料を求めています。多くの被害者が、それぞれの被害の状況や立場を超えて団結し、国と東京電力に対して立ち上がり、これ以上の被害を生み出さないことを求めています。
- 福島原発被害弁護団(通称、「浜通り」弁護団) 訴訟手続などにより、東京電力株式会社及び国に対し、福島第一原発事故による被害の完全な賠償を、国に対し、原発事故被害に関する政策を求めます。
- 福島原発被害救済新潟県弁護団 福島第一原子力発電所事故のため新潟県内に避難してきた方々に法的サービスを提供しています。
- 原子力損害賠償群馬弁護団 2011年9月15日、群馬弁護士会の有志により、発足した弁護団です。群馬県内への避難者の皆さんや、風評被害等に苦しむ県内事業者等の皆さんが、東京電力から適切な損害賠償を受けられることを目的として活動しています。2013年9月11日、前橋地方裁判所に、福島第一原発損害賠償請求訴訟を提起いたしました。原告は,福島県内から群馬県に避難した方及びその家族らの方々で、被告は、東京電力株式会社と国です。
- 原発被害救済茨城県弁護団 福島原発事故の被害者の方への適正な賠償の実現という目的のために、茨城県弁護士会所属の弁護士によって構成された弁護団です。弁護団では、これまでに説明会、相談会の開催、原子力損害賠償紛争解決センターへの和解仲介の申立てを行っており、将来的には訴訟の提起などの支援を行っていきます。
- 東日本大震災による原発事故被災者支援弁護団 東京三弁護士会災害復旧復興本部にて被災者支援を行ってきた弁護士が中心となり、各会所属の会員有志が結集し、弁護団を結成した弁護団です。原子力損害賠償紛争解決センターへの申し立てや交渉の代理を行うとともに、平成23年原子力事故による被害に係る緊急措置に関する法律(いわゆる仮払い法)に基づく仮払いの申請代理や、将来的には訴訟の提起等の支援を行っていく予定です。
- 福島原発被害首都圏弁護団 避難区域の内外を問わず、東京電力福島原発事故の被害者に対する謝罪と被害回復(生活再建に適った完全賠償、原状回復)を目的として、東京・千葉をはじめ首都圏の弁護士で結成した弁護団です。
- 原発被害救済弁護団(埼玉) 福島原発事故により、主に埼玉県内に避難している被災者が被った被害について、東京電力株式会社に対して損害の完全賠償を要求し、その実現をめざして活動している弁護団です。
- 原発被害救済千葉弁護団 千葉県弁護士会会員による弁護団です。2013年3月11日、8世帯20名の原発被害者の方々の原発事故被害による損害賠償を求めて、東電及び国を被告として千葉地方裁判所へ提訴しました。
- 福島原発被害者支援かながわ弁護団 主に横浜市、川崎市など神奈川県内に避難されている方を支援する弁護団です。2013年9月11日、第1次提訴を行っています。
- 福島原発事故損害賠償愛知弁護団 福島原発事故により、主に愛知県内に避難している被災者が被った被害について、東京電力株式会社に対して適正な損害賠償を請求・実現することを目的として、愛知県弁護士会に所属する有志の弁護士によって、結成された弁護団です。2013年6月24日、被災地から愛知県に避難された方を原告として、東京電力と国に対して、原発事故により発生した損害の賠償を求める訴えを、名古屋地方裁判所に提起しました。
- 東日本大震災による原発事故被災者支援関西弁護団 福島第一原子力発電所の事故による関西への被災者に対する被害の全容の解明とともに、その損害が適正に賠償され、かつ、健康被害の調査、被害回復方法の確立による被災者の権利を擁護する活動を通じて、生活再建を支援することを目的として結成された弁護団です。2013年9月17日、国及び東京電力に対する原発賠償訴訟の一斉提訴を行いました。
- 東日本大震災による被災者支援京都弁護団 東日本大震災発生による被災者(京都府下へ避難されてきた方々)の生活再建のために法律相談等、必要な法的支援活動を目的としています。2013年9月17日、京都地方裁判所に対し、東京電力と国を相手取って損害賠償請求訴訟を提起しました。
- 兵庫県原発被災者支援弁護団 2013年9月30日、国・東京電力に対する損害賠償請求訴訟を、神戸地方裁判所に対して提起しました。
- 岡山原発被災者支援弁護団 日本大震災及び福島第一原発事故により、岡山近隣に避難されてこられた被災者の方々を法的にサポートするために結成された弁護団のブログです。
- 原発損害賠償請求を支援する弁護士の会(広島) 東日本大震災及び福島第一原子力発電所事故により、広島県内あるいはその周辺に避難された方々に対して法的サービスを提供します。
2024/08/24(Sat) 11:59 | 被害者訴訟 | 21
汚染水漏出事故は発表されているだけで5回目である。しかし、未だに漏水の原因を把握できていない。のみならず漏水の規模が果たしてどのくらいであるのかも正確にはわかっていない。要するに東電側は、事態を何も把握していないし管理もできていないのである。そのことについて東電は危機感も責任も感じていないというのが信じたくないが現実である。
◆原子炉を冷却した後の高濃度のストロンチウムを含んだ汚染水に地下水が流れ込み、日々新たに400トンの汚染水が生まれている。完全な浄化装置がないために、タンクに貯めておくしかない。そのタンクの数が足りずに、急増したタンク(溶接しないボルト締めのタンク)から今回の漏出事故が起きている。この急増タンクに貯められている汚染水は8月23日現在で約22万トン余り、タンクには計測メーターがとりつけられていないので、汚染水が漏れていてもわからない。作業員が、タンク回りを目視で確認する以外に汚染水漏れをチェックできていいなかったという報道には、心底驚き、絶望的な気分にすらなる。
◆漏れた汚染水の回りの空間線量は毎時100ミリシーベルトという直ちに人命に危害を与えうる数値である。海洋汚染や地下水汚染の危険は収束の目途もたたず拡大一方の状況である。再び大地震や津波が来たときに総量33万トンと言われる高濃度放射能汚染水はどうなるのか。日々溜まっていく高濃度汚染水の当面の処理方策も決まっていないのだから、廃炉へ向けた計画など立てようがなかろう。
◆原子力規制庁は、今回の事故を当初レベル1としたが、IAEAの勧告を受けて、8月28日にレベル3(重大な異常事象)に訂正した。世界中がこの緊急事態に注目し連日トップニュースで報道しているというが、日本の中ではいたって「静」である。このギャップはいったい何なのか。
◆日本政府は、直ちに総力を挙げてこの重大な異常事象に対応すべきである。原発輸出の売り込みや、原発再稼働に血道を上げている場合ではない。東電をこれ以上好き勝手に野放しにすべきではない。直ちに東電を公正な第三者機関の管理下に置き、緊急に日本のみならず世界中の科学者の協力を得て高濃度汚染水の流出にストップをかける施策を講じなければならないし、同時に廃炉に向けた具体的なステップを明確にしなければならない。さらに東電の資産は、まず原発事故によるすべての被害者の救済に当てられるべきで、そのために強制力を持った資産分与の法的手続きがとられなければならない。これらの緊急事態に対応するために、憲法「改正」はもちろん不要である。規制庁の権限を強化し、破産法や会社更生法その他既存の法律を駆使することで十分に適切迅速な対応が可能である。