世界銀行が「原発拒否」 AFPが報道、他のメディアは?
世界銀行が「原発拒否」 AFPが報道、他のメディアは?
「世界銀行が原発にはカネを出さないことを決めた」―。
そんな話を聞いて、調べてみたが、どうやら新聞には載っていないようだし、どういうことか、と思っていたら、11月28日のAFP電が伝えていることがわかった。なぜ、ほかの通信社はキャリーしなかったのか、わからないが、下記のようなものだ。
AFPBBNEWS 2013年11月28日配信
【以下引用】
「原発は援助しない」、世銀と国連が表明
【11月28日 AFP】世界銀行(World Bank)と国連(UN)は27日、最貧国に電力網を整備するため数十億ドル規模の資金援助が必要だと訴えるとともに、いずれの国においても原子力発電への投資は行わない考えを表明した。
世銀のジム・ヨン・キム(Jim Yong Kim)総裁と国連の潘基文(パン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長は、2030年までに世界中の全ての人が電力の供給を受けられるようにする取り組みについて記者団に説明した。その中でキム総裁は「われわれは原発は行わない」と明言した。
キム総裁によると、世銀は来年6月までに42か国の発電計画をまとめる予定。電力網の整備やエネルギー効率の倍増、再生可能エネルギー比率の倍増などを掲げ、目標達成には年間およそ6000~8000億ドル(約61兆~82兆円)が必要になるとしている。
しかしキム総裁は、集まった資金は新エネルギー開発にのみ使用すると報道陣に明言。「原子力をめぐる国家間協力は、非常に政治的な問題だ。世銀グループは、原発への支援には関与しない。原発は今後もあらゆる国で議論が続く、たいへん難しい問題だと考えている」と述べた。
【以上引用】
世銀がカネを出さないなら、別の方法、たとえばアジア開銀とか、米州にもアフリカにも開発銀行がある、ということなのかもしれないし、アラブのお金持ちは大丈夫、という話なのかもしれないが、この話、原発輸出に血道を上げる安倍さんにも、日本財界にも、ちょっと大きなことではないのだろうか。
いくら安倍首相が「世界一安全な原発」と言ったところで、その危険性はなくならないし、それ以上に小泉元首相が指摘するとおり、「問題は処分場が見つからないこと」で、「処分場選定のめどが付けられると思う方が楽観的で無責任」なのに、そうした問題は抜きに、原発輸出に走っているのは、世界の趨勢に背を向けている。
それにしても、なぜ、このニュースが大きく載らないのか? 確かにAFPと契約しているメディアは少ないのだろうが、それならそれで、他の通信社はどうしたのか? もう少し、詳しい情報が欲しいのだが…。
そんな話を聞いて、調べてみたが、どうやら新聞には載っていないようだし、どういうことか、と思っていたら、11月28日のAFP電が伝えていることがわかった。なぜ、ほかの通信社はキャリーしなかったのか、わからないが、下記のようなものだ。
AFPBBNEWS 2013年11月28日配信
【以下引用】
「原発は援助しない」、世銀と国連が表明
【11月28日 AFP】世界銀行(World Bank)と国連(UN)は27日、最貧国に電力網を整備するため数十億ドル規模の資金援助が必要だと訴えるとともに、いずれの国においても原子力発電への投資は行わない考えを表明した。
世銀のジム・ヨン・キム(Jim Yong Kim)総裁と国連の潘基文(パン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長は、2030年までに世界中の全ての人が電力の供給を受けられるようにする取り組みについて記者団に説明した。その中でキム総裁は「われわれは原発は行わない」と明言した。
キム総裁によると、世銀は来年6月までに42か国の発電計画をまとめる予定。電力網の整備やエネルギー効率の倍増、再生可能エネルギー比率の倍増などを掲げ、目標達成には年間およそ6000~8000億ドル(約61兆~82兆円)が必要になるとしている。
しかしキム総裁は、集まった資金は新エネルギー開発にのみ使用すると報道陣に明言。「原子力をめぐる国家間協力は、非常に政治的な問題だ。世銀グループは、原発への支援には関与しない。原発は今後もあらゆる国で議論が続く、たいへん難しい問題だと考えている」と述べた。
【以上引用】
世銀がカネを出さないなら、別の方法、たとえばアジア開銀とか、米州にもアフリカにも開発銀行がある、ということなのかもしれないし、アラブのお金持ちは大丈夫、という話なのかもしれないが、この話、原発輸出に血道を上げる安倍さんにも、日本財界にも、ちょっと大きなことではないのだろうか。
いくら安倍首相が「世界一安全な原発」と言ったところで、その危険性はなくならないし、それ以上に小泉元首相が指摘するとおり、「問題は処分場が見つからないこと」で、「処分場選定のめどが付けられると思う方が楽観的で無責任」なのに、そうした問題は抜きに、原発輸出に走っているのは、世界の趨勢に背を向けている。
それにしても、なぜ、このニュースが大きく載らないのか? 確かにAFPと契約しているメディアは少ないのだろうが、それならそれで、他の通信社はどうしたのか? もう少し、詳しい情報が欲しいのだが…。
(丸山重威)
原発事故と原爆がもたらしたもの
原発事故と原爆がもたらしたもの
福島原発事故によって故郷を離たり、生業を失っている人は十数万人といわれている。
健康被害を心配している方や、風評被害を受けている方たちも大勢いる。
汚染水は垂れ流され、土壌除染は遅々として進まず、空間線量も高いままである。
人々の人生や生活も自然環境もずたずたにされているのである。これらの被害は、原発事故によって放出された「死の灰」によるものである。
原発事故は、超高温や暴風圧のような衝撃は伴わなかったものの、放射能という人類がコントロールできない「死の灰」をまき散らしたのである。
その被害が、いかに広範で深刻で長期にわたるかを再確認しなければならない。
私たちは、原発事故被害者が「元の生活」を取り戻すための営みをサポートする。
私たちは、原発に依存しない社会実現のために、再稼働を許さず、廃炉を求める。
私たちは、原発の輸出を認めない。
私たちは、広島・長崎の原爆被害者が、核兵器廃絶と国家補償を求めて闘ってきた成果を継承する。
私たちは、なぜかくも危険なものと同居させられているのかを学ばなければならない。
健康被害を心配している方や、風評被害を受けている方たちも大勢いる。
汚染水は垂れ流され、土壌除染は遅々として進まず、空間線量も高いままである。
人々の人生や生活も自然環境もずたずたにされているのである。これらの被害は、原発事故によって放出された「死の灰」によるものである。
原発事故は、超高温や暴風圧のような衝撃は伴わなかったものの、放射能という人類がコントロールできない「死の灰」をまき散らしたのである。
その被害が、いかに広範で深刻で長期にわたるかを再確認しなければならない。
私たちは、原発事故被害者が「元の生活」を取り戻すための営みをサポートする。
私たちは、原発に依存しない社会実現のために、再稼働を許さず、廃炉を求める。
私たちは、原発の輸出を認めない。
私たちは、広島・長崎の原爆被害者が、核兵器廃絶と国家補償を求めて闘ってきた成果を継承する。
私たちは、なぜかくも危険なものと同居させられているのかを学ばなければならない。
高濃度汚染水漏出問題と日本政府の責任
高濃度汚染水漏出問題と日本政府の責任
◆東京電力は、8月20日になって、福島第第一原発の汚染水著貯蔵タンクから放射能汚染水推定300トンが漏れ出ていたことを一転して認める発表をした。今回も発表が遅れ、事故隠しとの批判がなされている。東電の隠蔽体質は相変わらずと言わざるを得ないが、事はそれにとどまらず深刻である。
汚染水漏出事故は発表されているだけで5回目である。しかし、未だに漏水の原因を把握できていない。のみならず漏水の規模が果たしてどのくらいであるのかも正確にはわかっていない。要するに東電側は、事態を何も把握していないし管理もできていないのである。そのことについて東電は危機感も責任も感じていないというのが信じたくないが現実である。
◆原子炉を冷却した後の高濃度のストロンチウムを含んだ汚染水に地下水が流れ込み、日々新たに400トンの汚染水が生まれている。完全な浄化装置がないために、タンクに貯めておくしかない。そのタンクの数が足りずに、急増したタンク(溶接しないボルト締めのタンク)から今回の漏出事故が起きている。この急増タンクに貯められている汚染水は8月23日現在で約22万トン余り、タンクには計測メーターがとりつけられていないので、汚染水が漏れていてもわからない。作業員が、タンク回りを目視で確認する以外に汚染水漏れをチェックできていいなかったという報道には、心底驚き、絶望的な気分にすらなる。
◆漏れた汚染水の回りの空間線量は毎時100ミリシーベルトという直ちに人命に危害を与えうる数値である。海洋汚染や地下水汚染の危険は収束の目途もたたず拡大一方の状況である。再び大地震や津波が来たときに総量33万トンと言われる高濃度放射能汚染水はどうなるのか。日々溜まっていく高濃度汚染水の当面の処理方策も決まっていないのだから、廃炉へ向けた計画など立てようがなかろう。
◆原子力規制庁は、今回の事故を当初レベル1としたが、IAEAの勧告を受けて、8月28日にレベル3(重大な異常事象)に訂正した。世界中がこの緊急事態に注目し連日トップニュースで報道しているというが、日本の中ではいたって「静」である。このギャップはいったい何なのか。
◆日本政府は、直ちに総力を挙げてこの重大な異常事象に対応すべきである。原発輸出の売り込みや、原発再稼働に血道を上げている場合ではない。東電をこれ以上好き勝手に野放しにすべきではない。直ちに東電を公正な第三者機関の管理下に置き、緊急に日本のみならず世界中の科学者の協力を得て高濃度汚染水の流出にストップをかける施策を講じなければならないし、同時に廃炉に向けた具体的なステップを明確にしなければならない。さらに東電の資産は、まず原発事故によるすべての被害者の救済に当てられるべきで、そのために強制力を持った資産分与の法的手続きがとられなければならない。これらの緊急事態に対応するために、憲法「改正」はもちろん不要である。規制庁の権限を強化し、破産法や会社更生法その他既存の法律を駆使することで十分に適切迅速な対応が可能である。
汚染水漏出事故は発表されているだけで5回目である。しかし、未だに漏水の原因を把握できていない。のみならず漏水の規模が果たしてどのくらいであるのかも正確にはわかっていない。要するに東電側は、事態を何も把握していないし管理もできていないのである。そのことについて東電は危機感も責任も感じていないというのが信じたくないが現実である。
◆原子炉を冷却した後の高濃度のストロンチウムを含んだ汚染水に地下水が流れ込み、日々新たに400トンの汚染水が生まれている。完全な浄化装置がないために、タンクに貯めておくしかない。そのタンクの数が足りずに、急増したタンク(溶接しないボルト締めのタンク)から今回の漏出事故が起きている。この急増タンクに貯められている汚染水は8月23日現在で約22万トン余り、タンクには計測メーターがとりつけられていないので、汚染水が漏れていてもわからない。作業員が、タンク回りを目視で確認する以外に汚染水漏れをチェックできていいなかったという報道には、心底驚き、絶望的な気分にすらなる。
◆漏れた汚染水の回りの空間線量は毎時100ミリシーベルトという直ちに人命に危害を与えうる数値である。海洋汚染や地下水汚染の危険は収束の目途もたたず拡大一方の状況である。再び大地震や津波が来たときに総量33万トンと言われる高濃度放射能汚染水はどうなるのか。日々溜まっていく高濃度汚染水の当面の処理方策も決まっていないのだから、廃炉へ向けた計画など立てようがなかろう。
◆原子力規制庁は、今回の事故を当初レベル1としたが、IAEAの勧告を受けて、8月28日にレベル3(重大な異常事象)に訂正した。世界中がこの緊急事態に注目し連日トップニュースで報道しているというが、日本の中ではいたって「静」である。このギャップはいったい何なのか。
◆日本政府は、直ちに総力を挙げてこの重大な異常事象に対応すべきである。原発輸出の売り込みや、原発再稼働に血道を上げている場合ではない。東電をこれ以上好き勝手に野放しにすべきではない。直ちに東電を公正な第三者機関の管理下に置き、緊急に日本のみならず世界中の科学者の協力を得て高濃度汚染水の流出にストップをかける施策を講じなければならないし、同時に廃炉に向けた具体的なステップを明確にしなければならない。さらに東電の資産は、まず原発事故によるすべての被害者の救済に当てられるべきで、そのために強制力を持った資産分与の法的手続きがとられなければならない。これらの緊急事態に対応するために、憲法「改正」はもちろん不要である。規制庁の権限を強化し、破産法や会社更生法その他既存の法律を駆使することで十分に適切迅速な対応が可能である。
大江京子(日本民主法律家協会)
核兵器と原発の共通性と異質性 -核の平和利用の意味すること―
核兵器と原発の共通性と異質性 -核の平和利用の意味すること―
核兵器も原発も、核分裂エネルギーを利用する人間の営みであるということでは共通している。
核兵器はそのエネルギーを瞬時に最大限解放し、原発はそれを制御しながら利用するという違いがあるだけである。
原爆投下直後のトルーマンの声明は、核エネルギーについて「宇宙に存在する基本的力」と表現している。
核エネルギーは兵器として使用される場合には「地獄の業火」として、制御される場合には「神の火」として、人類の前に現れることになる。
今、国際社会も我が国も、核分裂エネルギーをコントロールすることは可能だとしている。
核エネルギーの「平和利用」や「民生利用」は各国の「奪いえない権利」としているのである。
本当に制御可能なのであろうか。それができていないことは、この間の現実が雄弁に物語っているではないか。
電気製造の方法は、核分裂エネルギーだけではないことは誰でも知っていることではないか。
にもかかわらず、なぜ、原発に依存しようとするのか。なぜ、「地獄の業火」による火遊びをやめようとしないのか。
核分裂エネルギーを兵器として、あるいは金儲けの道具として利用したい連中が、この世界を牛耳っているからであろう。
けれども、既に、原発に依存することをやめた国家も存在する。例えば、ドイツなどである。
核兵器はそのエネルギーを瞬時に最大限解放し、原発はそれを制御しながら利用するという違いがあるだけである。
原爆投下直後のトルーマンの声明は、核エネルギーについて「宇宙に存在する基本的力」と表現している。
核エネルギーは兵器として使用される場合には「地獄の業火」として、制御される場合には「神の火」として、人類の前に現れることになる。
今、国際社会も我が国も、核分裂エネルギーをコントロールすることは可能だとしている。
核エネルギーの「平和利用」や「民生利用」は各国の「奪いえない権利」としているのである。
本当に制御可能なのであろうか。それができていないことは、この間の現実が雄弁に物語っているではないか。
電気製造の方法は、核分裂エネルギーだけではないことは誰でも知っていることではないか。
にもかかわらず、なぜ、原発に依存しようとするのか。なぜ、「地獄の業火」による火遊びをやめようとしないのか。
核分裂エネルギーを兵器として、あるいは金儲けの道具として利用したい連中が、この世界を牛耳っているからであろう。
けれども、既に、原発に依存することをやめた国家も存在する。例えば、ドイツなどである。
核エネルギーを兵器として使用しようとする勢力も、湯沸し装置として利用したいとする勢力も、厳然とした力を保持し続けている。力による支配と利潤追求の衝動が、彼らの思考と行動を規定しているのである。いかに多くの人々が殺され、傷つき、苦しもうとも、彼らの関心の対象とはならない。核エネルギーは、神でも悪魔でもない、人間界の支配者によって、道具として利用されているのである。
兵器としての核エネルギーへの対抗は核兵器廃絶運動としてあらわれている。民生利用としての核エネルギーへの対抗は原発反対運動としてあらわれている。
核エネルギーは巨大であり、制御困難であるがゆえに、その保有者は、軍事的にも、政治的にも、経済的にも、社会的にも優位に立てることになる。神にも閻魔大王にもなれるのだ。
兵器としての核エネルギーの利用は非人道的であるだけではなく、国際人道法に反するとされつつある。民生用の核エネルギー利用は、危険で、高価で、反環境的で、反倫理的であるとされつつある。
にもかかわらず、核兵器に依存して国家の安全を確保しようとする勢力は、経済成長戦略の一環として原発を輸出しようとしている。その勢力に正統性を付与しているのは、有権者の投票行動である。多数決原理による正統性は、人間と自然や社会との関係で、常に正当であるとは限らない。この国では、多数決原理による正統性が「地獄の業火」による火遊びを継続させているのである。
核兵器と原発は、核エネルギーであるということで共通している。国家安全保障のために「最終兵器」に依存することは、正義や公正よりも暴力に依拠する発想である。電気エネルギーの確保のための方法はいくらでもあるし、節約の方法もある。
「地獄の業火」による火遊びを止めるために、私たちには、原理的な正当性の主張だけではなく、政治的正統性の確立も求められているといえよう。
大久保賢一(日本反核法律家協会事務局長)