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放射能の危険性

放射能の危険性

放射線と放射能

 放射線は、光と同じような性質をもったもので、原子を構成するそれぞれの要素の高速の流れや、エネルギーの強い波などをいいます。放射線には、α(アルファ)線・β(ベータ)線、γ(ガンマ)線のほかに、エックス線、中性子線、陽子線があります。このうち、ガンマ線とエックス線は、高エネルギーの電磁波で、光の一種といえます。また、原子は、陽子、中性子、電子といった粒子からなり、その中心に、いくつかの陽子と中性子でできた原子核があり、その周囲を何個かの電子が回転しています。
 放射線を発する放射性物質は、通常は安定している原子核とは異なり、不安定な原子核、放射性核種という、を持っており、これが放射線を出しながら、放射性崩壊といいますが、壊れていきます。この時に放出されるのがアルファ線、ベータ線とガンマ線で、この前のふたつに加えて、中性子線と陽子線が、粒子からなる放射線となります。中性子線と陽子線は、それぞれ中性子と陽子の高速の流れですが、ベータ線が電子の高速の流れで、アルファ線はヘリウム原子核の高速の流れとなります。
 放射能とは、放射線を出す能力のことで、放射線を出す性質をおびた物質、放射性物質は、放射性崩壊をしながら、異なる種類の物質へと変化していきます。この過程で、いわば物質から自発的に放射線が放出されるわけですが、その性質を放射能といいます。放射能は、放射性物質から放射線が出つづけている限りあるといえ、このような状態と考えることもできるでしょう。また、放射性物質それ自体を指し示す意味で、放射能という言葉がもちいられることもあり、性質や能力を表しているといえるでしょう。
 放射性物質とは、このようにそれが崩壊していく過程で放射線を発しているものを指すのですが、そこにはいろいろな種類、核種といいます、が存在しています。主なものとしては、セシウム、ヨウ素、ストロンチウム、プルトニウム、コバルトなどといったものがあります。これらは、それぞれによって性質が異なり、人体への影響も違ってきます。
 この放射性物質が崩壊して、放射線を放出する量、放射能が半分にまでなる期間を半減期といいます。これには、物理的半減期と生物学的半減期というふたつの考え方があり、物理的半減期の方は、量的に、原子の数が半減するまでの時間を意味し、その時間の長さによって放射能の影響がどこまで続くのかが決まってきます。生物学的半減期の方は、体内に取りこまれた放射性物質が、代謝などによってそれが半減する期間を示しており、人間の生体、臓器などの器官への影響をみるさいの目安となります。
 半減期は、核種それぞれで違っており、物理的半減期でも、長いものは、プルトニウム239のように2万4400年もあるものから、ヨウ素131のように8日間と、短いものまで、まちまちとなっており、影響の仕方が異なっています。生物学的半減期も、核種によって体内での代謝のスピードが違うことから長さが異なり、また体内の影響を与える器官も、それぞれ違いがあります。このほかの核種の物理的半減期としては、ストロンチウム90が29年、コバルト60が5.3年となっており、同じ物質でも、種類によって大きく異なり、例えばセシウムは、セシウム137が30年に対して、セシウム134は2年と、比較的短期間で半減します。このように種類によって、性質が異なります。

放射線の単位

 「ベクレル」は、放射能を放出する方からの単位で、放射能の強さを表しています。放射性物質が放射線を発する、その強さを示しており、具体的には、1個の原子核が1秒間に崩壊する値であり、それが大きいほど放射能が強いことを意味します。
 「シーベルト」は、放射能を受ける側からのもので、被ばく線量の単位を意味します。線量当量を表し、その値は、生体に対する影響を考慮した形での放射線の量、人体が吸収した量を示しています。毎時シーベルトは(Sv/h)、1時間で被ばくする線量で、強さを、1シーベルト/時は、1時間、同じ線量を受けたとしたら、1シーベルトの値となることを意味しています。例えば、毎時200ミリシーベルトの被ばくを15分間したとして、その被ばく線量は、4分の1の50ミリシーベルトとなります。

自然と人工の放射線

 もともと自然に存在している物質にも、放射線を発するものがあり、それを自然放射線といい、人工的に作られた物質から出される放射線、人工放射線と区別することがあります。原子炉から放出される放射線による被ばくなどは、代表的な人工的放射線源による被ばくといえます。このほかには、医療機器からの、患者や医療従事者への被ばくなどが、人工的なものとして一般的に知られているといえるでしょう。
 自然環境に由来するものとして、宇宙からの放射線、宇宙線をはじめ、大地や建物、また食品などからも放射線が発しており、それぞれ被ばくしたり、体内に取りこんだりしています。年間の被ばく量は、世界平均で2.4ミリシーベルト、日本では、平均1.5ミリシーベルトとされています。このほかに、人工的なものですが、検診などのさいのエックス線検査でも被ばくしており、日常的に放射線にさらされていることになります。

放射線の人体への影響

 放射性物質から出される放射線に人間の体がさらされることを放射線被ばくといい、それには、外部被ばくと内部被ばくのふたつがあります。この放射線被ばくによって、人体に影響があるとされていますが、それを放射線障害といいます。
 放射線障害は、被ばくすることによって、放射線がもたらす作用で体内の細胞が傷つけられて、細胞が死んでしまうか、そこまでいかなくとも、傷ついたまま細胞が分裂し、それを遺伝子が受け継ぎ、そうした状態で細胞分裂が繰り返されることによって、細胞がガン化することなどにより引き起こされます。放射線障害も、その影響のあらわれ方の違いによって、急性障害と晩発性障害のふたつに分けることができます。
 急性障害は、高いレベルの放射線に人体がさらされた時、高線量の放射線をあびたさいに発生するもので、一定の量を超えて被ばくすると症状があらわれ、その影響は被ばくの線量に比例して、多いほど深刻度は増していきます。外部被ばくなど、直接的に放射線をあびたさいなどに、あらわれやすいといえるでしょう。
 晩発性障害は、これに対して、低いレベルの放射線にさらされた場合でも発生するリスクがあるといえます。その名前の通り、時間が経過した後になって症状があらわれ、すぐに表面化しないところに特徴があるといえるでしょう。発症するリスク、可能性は、同じくさらされた線量に比例することが知られていますが、その症状の深刻さの度合いは、必ずしも、被ばくした線量にかかわらず、ときには大きな影響をおよぼすこともあります。また、内部被ばくなどとも関連して、注意しておく必要があるといえるでしょう。
 外部被ばくとは、体の外に存在している放射性物質から発する放射線をあびることによるものです。そのときに注意しておくこととして、アルファ線のような飛距離が長くない性質のものは、皮膚の表面で止まってしまうため、それほど影響を及ぼさないのですが、皮膚への透過力のあるベータ線とガンマ線は、用心する必要があるといえます。外部被ばくは完全には防げませんが、遠くに離れたり、さらされている時間を短くしたり、屋内に退避するなど、その影響をできるだけ低減することが重要となるでしょう。
 内部被ばくとは、食物を摂取することや、呼吸を通じて大気中にある放射性物質を体内に取りこむことによって発生するものです。人体の中にある放射性物質が放射線を発し、その放射線が体の中の臓器などに影響をあたえるものです。体内で放射線が、繰り返し細胞を傷つけることとなり、長い時間をかけて害をもたらすことにつながります。内部被ばくを避けるためには、放射能をおびた食べ物をできるだけ取らないようにすることや、呼吸などのときに体外から吸入しないために、防護用のマスクで防ぐことなどが効果的であり、こうした対策が必要となってくるといえるでしょう。
2024/08/24(Sat) 10:34  |   原発基礎知識  |   13

原子力発電とは

原子力発電とは

発電の仕組み

 原子力発電も火力発電も、発電の方法については、基本的には同じやり方で行われています。電気を作るのは、発電機で、そこにあるタービンというものを回すことによって発電をさせるのですが、そのタービンを回すための動力として何が使われるのかということによって、発電の種類が異なってきます。火力なら燃料の、石油、石炭などを燃やして、原子力なら核エネルギーを用いて、それぞれ水などを沸騰させ、一部ガスタービンの場合もありますが、蒸気の力でタービンを駆動させます。これが発電の種類の違いとなります。
 発電機にあるタービンを回して、その力で電気を作るという、基本的な仕組みは一緒なのですが、それをどのような方法で行うのかが異なるわけです。この違いが発電の性格を大きく決めることになります。火力発電、火力発電所にも、それ固有の問題がありますが、また、そのほかの発電の仕組みにも、同じように問題があるのですが、技術的には、比較的安定したものといえるでしょう。それに対して、原子力発電、原子力発電所は、原子炉を制御することが難しく、核の廃棄物の問題などもあり、技術的にも、非常に多くの困難を抱えているといえるでしょう。ここに原発の是非が議論される大きな理由があります。

原子力発電とは

 原子力発電も原子力爆弾も、核分裂の連鎖反応によって生み出される莫大なエネルギーを利用していることに変わりはありません。ウラン原子核に中性子を衝突させると原子核は分裂し中性子を出し、その中性子がさらにほかの原子核を分裂させるという具合に、つぎつぎと原子核を分裂させることを連鎖反応といい、この核分裂のさいには大きなエネルギーが放出されるのですが、それが連鎖反応することによって、短時間に非常に膨大なものとなるのです。この仕組みを原子爆弾は利用しているのですが、それはその力をできるだけ短い時間に極大化する方向でもちいられます。
 これに対して、原子力発電の方は、この同じ原理を利用してはいますが、核分裂の連鎖反応にともなうエネルギーを抑えながら、つまり核分裂を緩やかに持続的に起させて少しずつ、小出しにエネルギーを取り出すようにするのです。このエネルギーが生み出す熱を用いて水などを沸騰させて、その水蒸気の力で発電用のタービンをまわし、発電する仕組みとなります。核分裂のさいに、熱のもととなるエネルギーを放出すると同時に、放射線を出します。この放射線をおびた物質、放射性物質が、原子力発電では、核爆発と比べても、大量に発生し、時間的にも長期にわたって残存することになります。
 ここに原子力発電の危険性があるといえるでしょう。放射性物質は、放射線を放出し、しだいに別の物質となるのですが、その時に熱が生み出されます。こうした性質を放射能というのですが、発電にともなって原子炉内に大量に発生した放射能から、非常に多くの熱が出つづけることになります。そのため原子炉が停止した状態にあっても、炉心を冷やしつづける必要があり、十分に冷却されていないと、放射能が外部に放出されるような事態になってしまいます。なお、放射性物質が、放射線を出しほかの物質へと変化していく過程で、放射能の量が半分になるまでの時間を半減期といいます。
2024/08/24(Sat) 10:32  |   原発基礎知識  |   12

福島原発事故

福島原発事故

 福島第1原子力発電所で何がおきたのかは、必ずしも、十分に解明されたとはいえないでしょう。さまざまな報告書が出されてはいますが、肝心の原子炉の内部を直接見ることは、ほとんどできないので、断定することは困難といえるでしょう。だが、現時点でも、いろいろな検証をすることによって、解明できることもあり、その作業はなされつつあるといえるでしょう。最終的な結論としては、相当の時間が経過したのちに、原子炉を直接確認したうえで、くだされることとなるでしょうが、現時点でも、可能な範囲で明らかにしていくことが重要であることは、いうまでもないことでしょう。
2024/08/24(Sat) 10:41  |   原発基礎知識  |   14

フクシマ現地調査随行記 ~ 深まる「先の見えない苦しみ」と住宅街のイノシシ ~

フクシマ現地調査随行記 ~ 深まる「先の見えない苦しみ」と住宅街のイノシシ ~

 11月3日、公害弁連などが取り組んだ「フクシマ現地調査」に参加させてもらった。
 朝、いわき市役所前で調査のマイクロバスに拾ってもらい、国道6号線を北上し、富岡町の帰還困難地区の手前まで行き、いわきに引き返すルート。北上するにつれて町や村、畑の様相が大きく変化するのが印象的であった。
 まずはいわき市の北部に位置する四倉・道の駅から久ノ浜。このあたりは津波の大きな被害にあった地域。私たちのバスが走る国道6号線で海からの津波が止められて、国道の山側は被害を受けずに済んだという。北上する道路の右と左で全く景色が異なる。津波は7波わたって押し寄せ、第2波が最も大きかったとか。その為、第1波が引いてやれやれと家に戻りかけた多くの人々が犠牲になったという。被害から2年7ヶ月を経て、被害の跡はすさまじいものがある。しかし現在被害建物のほとんどは撤去され、更地にとして整理されてきている。 いわき市から広野町に入る。20キロ~30キロ圏内で全町民が避難した町。避難準備区域が解消され「避難解除地域」になった地域。役場も避難先のいわき市から戻り、小中学校も再開したが、未だ事故時の人口5400人の内、約2割しか戻っておらず、小中学生も、いわき市の仮設住宅からバスで通学しているという。
 北隣の楢葉町との境(20キロ地点)に「Jヴィレッジ」という、東電が原発造設を早く認めてほしいと福島県に贈った、130億円を投じた東洋一を誇るサッカー練習場等のスポーツ施設があったが、ここは今や、事故収束に働く労働者達の終集結場になっている。第一原発に作業に行った人たちは、作業場からのバスをここで乗り換えなければならないという。第一原発の作業場に行った車両は、ここより外には行けないとか。ビレッジの裏側は、除染による汚染物を詰めた、例の黒い袋が3段に積み上げられ、累々と拡がる集積場になっていた。最近になって作ったという塀に囲われて外からは見にくくなっていた。
 広野町から楢葉町に入っていくと北上するにつれて、次第に人影が見えず人々の生活のにおいが薄くなっていく。楢葉町は「警戒区域」が解除されて「避難指示解除準備地域」となった地域。泊まることは出来ないが、日中の出入りは可能になった、除染作業の地域である。集落と広々とした元田・畑が拡がる。除染作業の進んでいる場所は、畑や田んぼにはなっていなくても、それなりに畦と畑らしい形が見て取れるが、北上するに連れて、一面のセイタカアワダチソウとススキの群生地で、畦なども跡形も見えない。
 楢葉町では600年以上続く古刹、宝鏡寺に寄せて頂く。第30代住職の早川篤雄さんは、40年来原発反対運動に取り組んでこられたが、事故に遭い、現在はいわき市に避難しておられる。宝鏡寺も除染した(住まいから20メートルの範囲までが除染される)直後は線量が下がったものの、すぐ元に戻ってしまったという。山が除染されていないのだから、当然である。裏の山に山桜をたくさん植えていて、老後は、春の花、秋の紅葉を楽しんで孫と過ごす日を夢見ていたが全てダメになったと、話しておられた。早川さんは、事故後、率先してお寺の田んぼを汚染物の仮置き場に提供しておられる。
 宝鏡寺で、もう一人避難者の方のお話を伺った。同じく楢葉町の金井直子さん。昨年4月の第一回「『原発と人権』全国研究・交流集会in福島」の全体集会で、被害者市民の一人としてご報告を頂いた方である。「先の見えない苦しみ」に耐えながらがんばっておられる報告が印象的であった(ご参考「法と民主主義」2012年8/9合併号)。今回あれから1年半を経過してお話を伺って、未だに何時帰ることが出来るか見通しも立たず、「先の見えない苦しみ」が更に更に重くのしかかっていることが感じられて、改めて避難している住民被害者の置かれている状況の厳しさの一端を思わされた。住まいも、事故から2年半以上を経過して、多くの家がネズミなどのすみかになっていて、戻っても到底住めそうにない状態になっているという。
 更に北上して富岡町に入る。全市が「警戒区域」から、この3月に、3分割され、富岡駅周辺など、一部が「避難準備区域」や、「居住制限区域」となった。途中マイクロバスを降りて、富岡駅までかつての商店街を歩く。家の座敷の中に乗用車がひっくり返って収まっている。津波で流されて家の中に入ってしまい、そのままになっているのだ。駅の隣の3階建ての建物は左半分だけがひしゃげて潰れたままになっている。富岡駅の駅舎は流され、ホームと線路が草に埋もれていた。ここは、地震と津波で破壊されたまま全く人の手を入れることも出来ないままに放置され、2年半を越える月日だけが過ぎているのだ。
 更に北上して桜の花見道路で有名な「夜の森」方向へ向かう。マイクロバスが住宅街を通過中、「ア!イノシシだ!」の声に慌てて前方を見ると、確かにイノシシが道路を横切って、左側の住宅の庭に入っていくところであった。一瞬のことだったが、逆光で黒く見えるイノシシのシルエットが思った以上に大きく見えた。このあたりは、「イノシシが出る。イノシシと飼育されていた豚が交配してイノブタが生まれ、野生化している」との説明が事前にあったが、まさにお話の通り、住宅地の中を闊歩しているのだ。
 夜の森地区の「帰還困難区域」の手前で道は封鎖されており、ここから引き返す。このあたりは、道路の左側は「帰還困難区域」で住宅はバリケードで封鎖されている。右側は昼間の立ち入りは可能とされていてバリケードが撤去されており、左側と対照的ではあるものの、人影もなく荒れ果てている。バスで通過中も、線量計は小数点以下から数マイクロシーベルトの範囲をめまぐるしく変化した。通過している場所、バスの中での位置等で大きく変わるようである。「空間線量モニターはあらゆる方向からの放射線を拾うが、個人線量計は首からかると背後から被曝した放射線が減衰する。結果として線量が低く出る。」そして、原子力規制委員会は、住民の帰還目安となる被曝線量について、この個人線量計を採用する方向で合意したというのが、11月13日の東京新聞(朝刊)の記事である。
 「東京に帰ったら、こうした福島の有様を是非周りの人々に伝えてほしい」と、今回案内をして下さった佐藤さんが強調された。原発被害の質的な、そして量的な深刻さをリアルに垣間見させて頂いた調査だった。
海部幸造(日民協)
2013/11/28(木) 10:19  |   コラム  |   11

政権与党の幹事長殿から「テロリスト」扱い(?)された私(笑・・・ごとではないか)

政権与党の幹事長殿から「テロリスト」扱い(?)された私(笑・・・ごとではないか)

 皆さん、ご存じの通り、11月26日(火)、秘密保護法案が、衆議院にて与党及び一部野党などによって強行的に採決されてしまいました(その前日、福島県福島市で行われた、同法案の公聴会では、多くの反対意見が述べられたというのに・・・)。そして、同法案の審議は、参議院に移っています(同法案に関しては、本「原発と人権」ネットワークのホームページの2013年10月29日付コラムにおいて、大久保賢一弁護士が論考されています。)。
 そんな中、11月29日(金)のお昼には、秘密保護法案を廃案にさせようと、緊急の国会行動が行われ、参院議員会館前の歩道に300人を超える方々が参加し、「秘密保護法案、廃案!!」の声を挙げました。
 同行動では、田村智子参院議員が国会情勢報告し、吉良よし子参院議員があいさつしました。その他、全労連、新日本婦人の会など の方々からもアピール・報告がありました。

 また、私も、自由法曹団所属の弁護士として、同法案の反憲法的・反人権的性格(行政権力に対し広範な情報につき秘密指定させる 権限を与え、主権者である国民の代表機関=国会や、法の支配の下で行政権力の法的コントロールを行う司法権=裁判所のコントロールを及ぼせなくなる危険性、国民の情報へのアクセスを阻害し、情報取得の活動を萎縮させる危険性など)などについてお話しさせていただきました。
 特に、あの3.11東京電力福島第一原発事故の際、政府が、放射性物質拡散に関する適切な情報を国民に与えなかったことによって、多くの避難者の方々が放射線に被曝をしてしまった可能性のあること、「原発情報がテロ関連情報に当たる」として、これに関する情報が「秘密」指定されてしまい、今後、政府などが行おうとしている原発再稼働後の安全性管理などについての情報も、国民の目から隠されてしまう危険があることなどもお話しさせていただきました。

 そんな中、こんな報道を目にしました。それは、政権与党の幹事長の立場にある、「あの方」が、11月29日付の自身のブログの中で、こんなことを述べた、というものです。

 「今も議員会館の外では『特定機密保護法絶対阻止!』を叫ぶ大音量が鳴り響いています。いかなる勢力なのか知る由もありませんが、左右どのような主張であっても、ただひたすら己の主張を絶叫し、多くの人々の静穏を妨げるような行為は決して世論の共感を呼ぶことはないでしょう。
 主義主張を実現したければ、民主主義に従って理解者を一人でも増やし、支持の輪を広げるべきなのであって、単なる絶叫戦術はテロ行為とその本質においてあまり変わらないように思われます。」

 ・・・「今も議員会館の外では『特定機密保護法絶対阻止!』を叫ぶ大音量が鳴り響いています。」、「絶叫戦術はテロ行為とその本質においてあまり変わらない」・・・だって。
 うわー、これって、私、政権与党の幹事長殿から、「『テロリスト』とその本質においてあまり変わらない人物」扱いされた、ってことでしょうか(笑、・・・否、「笑いごと」では済まないか?)。

 一応、その後の報道では、同幹事長殿、「テロ」云々の部分を撤回する意向を示しているようですが、ホント、同幹事長殿、ひいては、同法案の「本音」の部分を垣間見たようで・・・
「原発と人権」ネットワーク事務局次長 弁護士 柿沼真利
2013/12/01(Sun) 10:56  |   コラム  |   16